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「もしトラ」→「ほぼトラ」→「?」 バイデン撤退後のアメリカで起こっている「ストレートな会話」とは?

Playing card with Presidential candidate Mr.Trump’s face
Photo | Shutterstock

トランプ銃撃事件で揺れた米国、やっと落ち着きを戻した日曜日の午後。新たな速報が流れ、全米中のみならず、世界中が再び揺れ動きました。


「バイデン大統領、選挙戦から撤退!後任はハリス副大統領を推薦。」


大統領候補者が党の任命大会の1か月前、すなわち有権者が投票に向かう数か月前にレースを辞退するという。近代政治において前例のない、まさしく歴史に残る出来事が起こったのです。


即、コメンテーターはトランプ氏に尋ねます。すると、「そもそも、立候補すべきではなかったんだ。静かに地下に留まっているべきだったんだよ。」と皮肉たっぷりのトランプ節。


選挙日まで4か月という時点で、ついに『トランプ vs ハリス』という構図に変化。それも共和党に風向きが変わった現状下での争いになるとは、誰が想像できたでしょう。


アメリカを牽引するだけの能力がハリス氏にあるのか? とささやかれる中。それでも初の女性大統領、それも非白人女性という期待はガゼン高まります。


一方、銃撃事件を奇跡的に乗り越え、逆に勢いを増したトランプ氏。事件後、力強く拳を突き上げたトランプ氏を英雄視する現象は広がり続けるばかり。


さて、この戦い。大統領選挙の11月迄どのように動いていくのでしょうか。今回は特別版として、劇的な展開が続くアメリカ大統領選挙の今をわかりやすく解説します。


Biden and Harris campaign poster
Photo | Courtesy Oregonarea Progressives

(編集部注:23日に発表されたロイター/イプソスの世論調査で、ハリスの支持率[44%]がトランプ[42%]を2ポイント上回ったことが分かった)


バイデン撤退が引き起こす嵐!ハリス氏の大統領としての指導力は?


突如、X(元ツイッター)を通して公式文書で発表されたバイデン大統領の撤退表明。


実は、ホワイトハウスの高官に連絡が入ったのが、なんと表明1分前だったというから驚きです。


とはいえ、多くの民主党員からは安堵の声が漏れ聞こえます。現在、コロナ療養中のため、本人自らの発表は持ち越しとのこと。


大統領本選挙日まで、わずか4か月!この時点で、ホワイトハウス座争いが大変換。


しかしハリス氏は、8月の民主党大会で『過半数の党代議員』から賛成票を得る必要があります。そこで初めて、民主党代表として大統領候補になれるのです。


そんな事情もあってか、全米メディアはバイデン氏はすでに過去の人扱い。撤退発表の当日から、先を読むことに夢中です。


「ハリス氏は正式大統領候補に任命されるのか。対抗馬は出てくるのか ⁈ 」


「任命後、トランプ氏との討論で打ち負かす気力・体力・能力があるのか ⁈ 」


「誰を副大統領候補に任命するのか ⁈ 」


主要政党の大統領候補で初の有色人種の女性として歴史をつくるチャンスを得た...というか、前例のない政治的大混乱に巻き込まれているバタバタ感は否めません。


バイデン撤退が決まった時から突如、有色人種と女性から強い支持あり!という民主党内の声が全米メディアを通して聞こえてきます。


しかし、バイデン政権一年目から、それも女性リーダーからの評価は決して高くなかったハリス氏。バイデンのお飾り、伴走者、リーダー能力の欠陥。そんな過去の歩みから、大国をまとめ上げる力は無いという批評が多いのも事実です。


米国女性が選ぶ『大統領になってほしい女性』No.1は、ミッシェル・オバマ。元ファーストレディーが応援に駆け付ければ勝利に近づくのでは。そんな複雑な声も聞かれる今。


「女性初の大統領になるかもしれないハリス氏に投票するか?」というストレートな会話が、すでに町のあちらこちらから起こっています。

Trump and Vance campaign site
Photo | Courtesy OregonLive

トランプ&バンス氏の大逆襲!共和党大会で見せたツーペアー


一方、暗殺未遂後、『トルネード』並みに乗りに乗っているトランプ氏。


襲撃後の初演説となる共和党大会が、18日に開催されました。その舞台は、激戦州としても有名なウィスコンシン州。ここを制すると勝利に大きく近づくとされる場所です。


世界中の注目を集める中、トランプ氏は白いガーゼを耳に当てて登壇。国民にアピールを始めます。銃撃事件前までの攻撃的な物言いとは打って変わり、神妙な語り口。


「アメリカ社会の不和と分断は癒されなければならない。」


その後も、驚くほど穏やかなトーンで続けます。


「老若男女、共和党・民主党支持者、無党派層、黒人、白人、アジア系、ヒスパニック系を問わず、すべての国民に忠誠を誓います。」


民主党の十八番であるはずの国民の団結。さらには分断の修復を群衆に呼びかけたことに、国民は驚きを通り越してあんぐり...。


とはいえ、中盤からは徐々にトランプ節が復活。現政権や民主党議員の批判から、経済、外交、非合法移民問題へと話題を展開して、通常運転で爆走します。


そして、締めの言葉は会場の観衆と共に雄叫びを。


「アメリカを再び偉大な国に!」


会場に響き渡る群衆の声のうねりと熱気が、TV画面を通してこちらにも伝わってきます。


そのステージをしっかりと見守っていたのが、トランプ氏に忠誠を誓った副大統領候補のバンス氏。別の意味で、すでに世界から注目を集める存在です。


トランプ氏の熱烈な支持者でもある『アメリカの繁栄から取り残されてきた白人弱者』『荒んだ地域と貧困』。


実は、バンス氏自身がその層の出身。『アメリカ版成り上がり』『白人クズ層から副大統領へ』と揶揄されながらも、それをどう上手く切り札として使っていくのか。


このツーペアが最強の持ち札となり、無党派や新たな層を共和党へ呼び込むことができるのでしょうか。


※次回はここからさらに深掘り!トランプ氏が起用した白人弱者貧困層出身のバンス氏。彼を支持する『荒んだ地域と貧困層』。そこから見える『日本社会との共通の問題点』とは何かに迫ります。


世界の命運を握る!ハリスVSトランプ、決戦の4か月間


今回の襲撃事件によって、大きなチャンスを手にしたトランプ氏。現段階では、もしトラから『ほぼトラ』に移行している雰囲気の米国。


そのバロメーターともいえるのが、国内外の主要リーダーたちからトランプ氏へのアプローチです。


ゼレンスキー氏からの提案で実現した電話協議会談。習近平氏からの心のこもったお見舞いの手紙。さらには、イーロン・マスク氏ら米IT企業の大物たちとの会談。シリコンバレー企業からの巨額な選挙援助。


これらの動きから、共和党大会以降さらに強まる『驚愕のツーペアー、トランプ&バンス』への風向きを感じ取れます。


生成AI、電気自動車、新エネルギー、データ解析、資産暗号など、アメリカをさらに牽引する主流産業。現バイデン政権は、それらの産業を規制しテック会社の買収などを制御・阻止してきた背景があります。


それに反発する姿勢として、シリコンバレー近郊(リベラル派中心)の政治と思想の微妙な動きが、ここにきて表面化している様子です。


一方のハリス氏。現大統領と同じ方針で進んで行くということですが、まずは民主党内からの過半数支持票を集めることが次のステップ。


同時に、一日も早くキャンペーン開始。具体策や方針を国民に発表することで、自らのリーダー能力をアピールしていく。想像を絶するような試練が待ち受けていることは確かです。


「バイデン氏よりハリス氏の方が、打ち負かすのは簡単だ!」21日SNSの更新でトランプ節が炸裂。


民主党の選挙対策本部は、「党員・国民が一丸となって進む道は、なに一つ変わっていない。民主主義の名のもとに、トランプを倒すために前進するのみだ!」と強調します。


11月の本選挙までの4か月間。経済大国第一位の未来、さらには世界全体の運命を左右する激動の時期。


歴史に新たな章が刻まれる瞬間は、まさに目前に迫っています。


次回は、今回の記事をさらに深堀り。トランプ氏が起用した白人弱者貧困層出身のバンス氏。彼らを支持する米国の『荒んだ地域・貧困層のリアル』と『現代日本社会との共通の問題点』とは何かに迫ります。

バンス氏回顧録の「ヒルビリー・エレジー」から見えるすさまじいリアルなアメリカ。トランプのきわどい戦略のひとつといわれる、副大統領候補の妻の存在など。

続・特別版として、8月初頭掲載です!


記:各回にご登場いただいた方や記載団体に関するお問い合わせは、直接山本迄ご連絡頂ければ幸いです。本記事掲載にあたってのゲストとの合意上、直接のご連絡はお控えください。





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