top of page

【スペシャル企画】初!FBI 州トップインタビュー 『ポートランドでの最新動向、その働きに迫る!』

FBI Oregon Bureau Chief Ramsey
女性リクルートイベントでスピーチをする、FBIオレゴン州のラムジー支局長。彼のカリスマ溢れる語り口は、新たな志願者に深い感銘を常に与えます。 Photo | FBI Portland Field Office

「FBI !? って、あの映画やドラマで観るFBI 、よね...。」映画やドラマで描かれるイメージしか持ち合わせていない著者。そこに突然、『FBIとの意見交換会』という招待状が届いたのです。


緊張と興奮が胸に渦巻き、オレゴン州日本人コミュニティ代表として、在ポートランド総領事(前任)と共に会議の場に足を踏み入れると。そこには、予想外の光景が広がっていました。


メキシコ総領事、領事、補佐官。そして、さまざまなマイノリティ文化・コミュニティの代表者たちが集まり、アットホームな雰囲気に包まれている会議室。


その中心には、堂々としたオーラをまとった男性が。それが、FBIオレゴン局長ラムジィー氏との出会いでした。


着席すると同時に、場は一変。『多様な背景を持つ市民をどう守るか』という問いに向き合いながら、活発な意見交換が始まります。


不思議なほど、ラムジィー支局長の情熱と市民への真摯な思いが伝わり。FBIの役割がより深く理解できる、まさにオープンな対話が展開されていきました。


ブラックライブズマター、アジアンヘイト、コロナ禍の影響、物価上昇など。市民の心を揺さぶる出来事に、地域の方向性が模索される今。マイノリティとしての役割や日々の暮らしに対するアプローチについて、真剣に向き合う必要が出ています。


今回の記事は、『初の日本人による日系メディア掲載』となる特別なインタビュー!


FBI本部の協力を元に、FBIの州トップが大胆に、現在のポートランド近郊市の現状と取り組みについて語ってくださいました。


さて、これから語られるラムジィー支局長の言葉から、あなたはどのような気づきを得るのでしょうか。

Terrorist attack in New York City
ニューヨーク市での911テロ攻撃に対応した際、ラムジィー氏自らが撮影した貴重な一枚。 Photo | FBI Portland Field Office

| FBIって... 実際、何をしている組織なの?


【 FBI(Federal Bureau of Investigation:連邦捜査局) 米国司法省に所属する法的執行機関(以下、法的機関と記す)。別捜査官、情報分析官、言語専門官、科学者、情報技術専門官など、多様な専門職を持つ約37,000人の職員が全米に展開。


全米には56の支局があり、オレゴン州(ポートランド支局)にも数百人の職員が在籍します。】


うーん...。このような文字を追っても、私たち一般市民にはピンとこない感じ。


では、FBIがどのような役割を果たし、どのような範囲で活動しているのかを先ずは見てみましょう。


テロリズム


FBIの主な使命の一つは、アメリカをテロ攻撃から守ることです。内部のテロリストグループやスパイ活動を撲滅し、国際的な協力を通じて過激派ネットワークを壊滅する支援を行っています。同時に、外国のテロ組織による資金提供や支援を断つための努力も継続しています。


防諜


諜報や破壊活動等の無力化もFBIの目的です。スパイ活動に対する市民の認識は、昔の世界大戦や冷戦のようなものだと思われがちです。しかし現実は異なり、かつてないほどスパイ活動は広がっており、米国の重要情報が標的とされています。


サイバー脅威


悪質なサイバー活動は、国家、経済、個人の安全を脅かす重要な問題です。FBIは独自の能力と広範なパートナーシップを活かし、サイバー攻撃者や組織の行動を封じ込め、改善を促すことで、国のサイバーセキュリティと国民の安全を守る役割を果たしています。


公共汚職


FBIの刑事捜査の中で最も優先するのは、国家安全保障と国民生活に根本的な脅威をもたらす汚職事件です。汚職は国民の生活経済にも大きな打撃を与え、米国政府と国民は毎年何十億ドルもの税金を費やしていると推定されています。


公民権


FBIは、連邦公民権法の違反を調査をする主要な機関です。これらの法律は、米国内の全ての人々の権利を保護するためのものです。FBIは特別な捜査手段を駆使し、人種や宗教、性別、障害、家族の地位、国籍に基づくヘイトクライムや他の法律違反に立ち向かいます。また、常に革新的な戦略を編み出し、犯罪の予防対処に取り組んでいます。


国際組織犯罪


FBIは、国際的な組織犯罪に抵抗し、国家と経済の安全を確保するために努めています。特別な連邦法等を活用し、国内外の機関と連携して様々な犯罪に対処し、国家の安全と社会の健全な機能を保護します。


知能犯罪


職務の中で行われる横領、背任、脱税、贈収賄、インサイダー取引、独占禁止法違反、消費者詐欺、環境汚染などは、会社や社会を壊し、個人の貯蓄を奪う行為です。FBIの知能犯罪、情報分析と複雑な捜査の遂行に注力しています。


凶悪犯罪


FBIの最優先課題は国家安全保障上の脅威からの防衛です。時に、全米の都市・地域社会における凶悪犯罪対策でも重要な役割を果たしています。大量殺人、銃殺人、連続殺人などの暴力犯罪事件は地域社会に大きな影響を及ぼします。FBIは各州・地域の法的機関と連携し、これらの犯罪を阻止・防止するために独自の取り組みを行っています。


※詳しくは、https://www.fbi.gov/investigate をご覧ください。(英文表示のみ) 


Agent and Analyst During Basic Field Training Course
FBIのエージェントとコンピューターで分析する専門家  Photo | FBI Portland Field Office

| FBIのモットーは、「忠誠・勇敢・清廉」(Fidelity, Bravery, Integrity)


オレゴン州のトップであるラムジィー支局長 は、FBIの業務が詳細に分類されていることを語りながら、温かな笑顔で話し始めます。


「FBIには、連邦法違反に特化した数多くの分隊が存在します。例えば、サイバー、金融犯罪、テロ(国内外)、公民権、暴力犯罪、児童に対する暴力犯罪対策班などです。」


それにしても、『なぜFBIで働こうと思ったのですか?』


こんな著者の素朴な疑問にも、快く返答をしてくれる支局長 。


「全米社会で起こる大きな事件に関連する仕事をしたい。絶えずそう考えている自分がいました。


大学を卒業後は、まず米国税関国境警備局に。その後、自身の使命感からFBIでの職に就くことを志しました。2020年に特別捜査官として現職に就任し、現在も経験と学びを積み重ねている最中です。」


さらに続けて、州地域のFBIとしての働きについて説明をします。


「実は、米国の連邦法的機関の中で、最も幅広い捜査権限を持っているのがFBIなのです。FBIは、他の連邦機関や州・地方機関、国際的な法的機関や情報機関と緊密に連携。情報共有を重要視しています。そのため、捜査の多くは合同捜査班として行われることが一般です。


FBIの最大の目標は、憲法を守り市民を守ること。この信念に基づいて、支局の特別捜査官やスタッフは覚悟をもって日々業務に取り組んでいます。


さらに、FBIのリーダーとして、社会と市民の生活にポジティブな影響をもたらすこと。ここに、自分の人生と情熱を注いでいます。」


では具体的に、現在のポートランド地域の状況や多様な社会問題に対して、FBIはどのような役割を果たしているのでしょうか。


その中でも、特に注目すべきポイント。それを支局長らが更に詳しく語ってくださいました。


FBI Oregon (Portland) branch
FBIのエンブレムを掲げるオレゴン州(ポートランド)支局  Photo | FBI Portland Field Office

|「我々は真実を追求し、感情に縛られることなく捜査を行うのみ」(FBI本部トップ、クリストファー・レイ長官)


現在の米国の主要都市における状況の流れ。それは、ブラックライブズマター(BLM)⇒ アジアンヘイト ⇒ コロナ ⇒ そして現在の物価高。


その結果、町の安全と市民の生活には劇的な変化が生じています。この状況は、ポートランド市とその周辺地域においても同様です。


「確かに、ポートランド市での犯罪増加は現実です。同様に、コロナ前後に発生している犯罪に対してFBIが果たす役割はとても大きい。


しかしながら、犯罪の発生率は以前よりも上昇している状況。このため、市は問題に対処するために600万ドルの警察力強化費を投じており、さらに非営利団体からの援助金も加えて対策の強化を図っています。」


では、『支局長としての視点と個人的な感情を総合して、どのようにお考えですか?』


著者が率直に質問すると、心を込めた返答が返ってきました。


「精神医療、ホームレス問題、薬物中毒、凶悪犯罪など。他の都市同様、私たちの地域社会はさまざまな課題に直面しています。


これらの課題へのアプローチに対して、かつては分散していた時期もありました。しかし現在では、市や地域の指導者たちが連携し合い、これらの問題に積極的に取り組んでいる。


この進展は素晴らしいもので、私たちが共通の目標に向かって団結協力して、努力していることを強く感じ取ることができます。」


実は、このインタビューとほぼ同じ時期。在ポートランド総領事が、ホームレスの若い女性によって突き飛ばされるという、痛ましい出来事が著者の耳に入ってきました。


この残念な犯罪について、『多くの日系・アジア系市民は不安を抱えています。そんな読者にメッセージをいただけないでしょうか?』


この直球のような質問に熟考し、誠実にしっかりとした口調でラムジィー支局長が答えます。


「職務上の理由から詳細を述べることが難しいのですが、事件発生以来、FBIはポートランド市警と協力し徹底的な捜査を続行しています。


私たちは市民の安全を第一に考え、犯罪を根絶し正義と公正を実現する。そのために、最善を尽くし続ける使命を担っています。


さらに、こうした許されない悪質な行為は、被害者への攻撃だけではありません。コミュニティ全体に対する脅しや威圧を引き起こすのです。


憎悪や人種差別が漂う場所など、この世界に本来存在すべきでない。だれもが自身の人種、外見、生い立ち、宗教などのアイデンティティを理由に、暴力の標的にされることは絶対にあってはなりません。


そのため、憎悪犯罪が発生した後だけでなく、未然に行動を防ぐためには情報提供が重要です。


だからこそ、どんな時でも恐れずに声を上げてほしいのです。


市民全体でこの意識を共有することで、悪質な犯罪を未然に防ぐ力を高められます。


さらに、ここで重要なポイント。


それは、もし犯罪の被害に遭った場合。FBIは、あなたの米国在留資格のステータスに関わらず 常にあなたをサポートする意向だということです。


常に、より強化された体制で加害者を追求し、その責任を問うための取り組みを積極的に展開していきます。」


※ 詳細な報告方法については、記事の最後に記載しています。ご参照ください。


homeless people sleeping on the street
全米の都市部を襲う深刻な課題。街路に身を横たえる人々がその象徴となっている。 Photo | FBI Portland Field Office

| 安心して住める町づくりの基本的な原則と忠告


インタビューも終盤に差し掛かり。そこで思い切って、『市民にとって住みやすい町にするための鍵は、何だと思いますか?』と尋ねました。


すると支局長は、未来の町づくりにおいて子供たちの健全な成長を支える。そのためにも、社会的な課題への日々の取り組みが不可欠であると言います。


それに加えて、この課題に取り組む際には地域全体で団結し、協力することが非常に重要であることも強調します。


さらにここで、大胆かつ率直に、現在の深刻な問題を明確に指摘する支局長。


「ストレートに言います。今の米国の地域社会において、子供たちや一般市民にとって最も深刻な脅威は『麻薬』です。


その中でも、中毒性が強く命にかかわる危険性が高い麻薬。その一つが、フェンタニル(合成オピオイド)。フェンタニルは他の薬物と混ぜられ。比較的容易に大量に製造されることから、多様な形態で市場に広く出回っています。


麻薬密売組織は、さまざまな色、大きさ、形・形態に変えて売りさばいています。さらに、供給を増やすために備蓄数を拡大している。こうした醜い現実があります。


さらに、最近ではソーシャルメディアを通じて、若いユーザーを標的にした麻薬密売人が急増化。


実際、今日のこの類の薬物の蔓延は、私たち法的機関が過去に経験したことのないレベルにまで達しています。


路上で手軽に入手可能。そんな低価格の薬物の危険性が高まっている現実。ですから、FBIと提携するパートナーは、組織の追跡と壊滅に向けてさらなる不断の努力を続けるのです。」


日本人としては、通常は麻薬問題が主に海外の出来事として捉えられがち。しかし、現実はまったく異なり、今日の日本国内でも麻薬乱用は非常に深刻な課題に。


特に近年、若者たちを中心にした薬物乱用についてのニュースを頻繁に目にする機会が増えています。


日本政府広報によれば、20歳未満の麻薬使用率が2017年の36.4%から2022年には52.1%へ増加。特に20歳未満の年齢層での乱用が、顕著に広がっていることが指摘されている状況。


同調査によれば、そのきっかけは「好奇心・興味本位」が最も多く。その次に「ノーと言えなかった」「ストレス発散」「多幸感」といった理由が続きます。


こうした事実からも、日本を含む世界中で、すでに深刻な問題として広がっている実態が明確に浮かび上がっています。


最後に、これまで語ってきた重要なメッセージを基に、ラムジィー支局長は温かな口調で力強く次のように締めくくりました。


「 FBIは、あなたの生活を支援するため、地域社会の安全を守るために日々働いています。


米国内で犯罪の被害に遭った(と思われる)方は、ためらうことなく FBI(1-800-CALL-FBI)に電話。または、tips.fbi.govからご報告ください


又、オレゴン州内での情報は、オレゴン・ポートランドFBI支局 (503)224-4181 へ直接電話または、tips.fbi.gov.上のフォームから連絡をしてください。


より優れた市民生活の実現には、地域、州、国内外の人々、そして世界中の協力が欠かせない。そう感じると同時に、FBIの使命とその奥深い取り組みについて考える機会となりました。


今、世界や地域で進行中のさまざまな出来事に対して、向き合う時が訪れているかもしれません。


あなたは、何を感じましたか。


AEC 2022 Miller Speaker
Photo | FBI Portland Field Office

本編は、FBI本部の協力の元、写真提供と記事内容確認と共に掲載をするに至りました。ご協力くださった多くの関連職員の皆様に感謝をいたします。


尚、FBIの詳細と記事内容に関するお問い合わせは、山本まで直接ご連絡頂ければ幸いです。 当記事に記載した、通報・報告以外の直接のお問い合わせはお控えください。


次回は、米国内で近年、さらに加速をする『建築 デザインビルド方式(設計施工)』に注目。『全米デザインビルド協会への特別インタビュー(日本初!)』を通して、その働きを深堀りします。


今後のアメリカの建設プロジェクトの半分以上をこのデザイン方式が担う、と言われている最新方式。 そこから見える、他種ビジネスへの適応方法も!『最新・エコ環境対応とは』『生成AIを絡めてビジネスを新しい流れに乗せていくのか(乗り遅れないには)』のヒントも満載。


9月中旬掲載です!




bottom of page